円周率は3を広めた日能研、その後のインタビュー

2001年05月04日 週刊 週刊朝日

 電車の中で見たことあるかな。「シカクいアタマをマルくする」と、中学入試の問題を見せる、アレですね。99年の秋ごろ、JR山手線や営団地下鉄など15路線の全部の車両に張ったポスターは、こうでした。
 「ウッソー 円の面積を求める公式 半径×半径×32002年、小学5年生は円周率を3・14ではなく、およそ3として求積計算を行います。ホントです」
 日能研代表の高木幹夫さんに聞こう。
 「遅いんだな。今は全然そんなこと言ってないの」
 ――それで円周率が3になるという根拠は?
 「計算させるのは、小数点以下1位までとなっているでしょ。だから」
 ――円周率は別のようですが、確認されましたか?
 「確認なんて、できる立場にないですもん」
 ――今も3になると思い込んでいる人が多いようです。
 「まあ、3説が独り歩きしたようなところもあるけれど……そこまで責任はもてませんよ」
 いろんな雑誌やテレビが3になると言っていたから、高木さんだけに聞くのは、ちょっと気の毒だったかもしれないね。みんなも、人からおもしろい話を聞いたら、お友達に知らせる前に、それが本当かどうか、よくたしかめよう。
 (本誌・小林伸行

 

デマを流し公教育と社会を対立させ、

金のエネルギーを得ても罰則は無い。

開き直りで終わり、しかも一般人にデマが広まったまま。

で、その影響が今も続いている。

 

ネット以前というのは教育の社会基盤が極めて脆かった。

 

2018/3/12追記

この記事は検索してくる人が多いようだ。

個人的に知ってほしいことを書いておく。

 

学校教育と市民をケンカさせる、という金儲けの古典的手法がある。

お題はこうした円周率でもなんでもいいので

まず学校教育の批判を展開する。

 

これをやると、真偽を問わず市民に学校教育不信が残り、

市民は金の方向性をビジネス側に寄せる。

結果、ビジネス側が安全な位置から利ざやを得られるカラクリだ。

 

そもそも公教育のみに使用される市民の金は固定的であるので、

こうして新たなキャッシュフローが創出されることは

資本主義的には是とされる。

その筋によってこうした話はうまく解体されない。

 

ビジネス側が市民に提供した内容は、大したソリューションでもないので

短期で消耗される。

問題なのは、学校教育不信だけはポツンと長期間残されることだ。

「円周率は3」で学校批判なんかをやっている人も未だ見かけるだろう。

一見、公教育一人負けのWIN-WIN-LOSEの構図になっているが、

結局回り回って市民も代償を負うことになる。

最終的に利ざやを得るのは、ビジネスを仕掛けた側だ。 

 

これは社会に歪みを生じさせ、

その歪みから利ざやを抜くビジネスの手法である。

市民と公教育が積み上げた公共の信用を、

金に変換して吸い取る手法だ。

私はこれを社会が許容すべきでないと考える。

学校教育への批判はこのような方法ではなく、

もっと正当に行われるべきである。

 

ただし社会が許容すべきでないと言っても、

違法性を問われて来ず、

経済活動として認容されてきたのが現実だ。

市民にはビジネスと公教育の両方を監視する義務がある。

市民はビジネスが仕掛けた若者批判や学校批判といったガス抜きに

安易に相乗りすべきでない。