学校とプールの重大事故について
プールの排水口事故 のアクセスが多い。
時期的なものだろう。
プールでの重大事故について。
排水口の吸い込みや、飛び込みによる頚椎損傷といった
事故がよく語られる。
しかし当然だが、
新聞のデータベースなどを見ると
通常の溺死が多数のようだ。
溺死と書くと定義が広い。
ここでいう通常の溺死とは、
監視員や保護者が気づいたら溺れていた、
水面に浮いていた、または沈んでいた、
などを指す。
突発的に動かなくなった、も溺死に該当すると思う。
しかし下記の資料では別に分類されている。
あまり分類の意味をなしていないが。
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/anzen_school/suiei2018/suiei2018_2.pdf
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/anzen_school/suiei2018/suiei2018_7.pdf
さて、過去の記事などからプールの重大事故をどう考えるか。
結論から言えば、
子供は突然水死してしまう可能性がある。
原因がよく解らないケースが多い。
下記は朝日新聞の記事例。
1998年08月27日 朝刊 神奈川
水泳教室で小学生死亡 横浜・戸塚区 /神奈川
(中略)
水面に顔をつけたまま動かなくなっていた。病院に運ばれたが、午後二時ごろ死亡が確認された。
調べによると、○○ちゃんは幼稚園児や卒園生を対象にした水泳教室に参加。準備体操をした後、午後一時半ごろから、長さ一〇・五メートル、幅六・五メートル、深さ〇・九一メートルのプールに入って泳いでいたという。水泳教室には女性指導員二人が付き添っていたという。
1989年09月06日 朝刊
深さ体験でわずか5分、小2沈む 愛知・額田の学校プール【名古屋】
(略)プールの中で仰向けになって浮かんでいるのを、担任の○○教諭(51)が見つけた。あわてて飛び込み、救いあげて人工呼吸をし、すぐに岡崎市内の病院に運んだが、間もなく死亡した。 岡崎署は、○○君は水死した可能性が高いとみているが、6日司法解剖して、詳しい死因を調べる。 調べによると、プールは、縦25メートル、横16メートル、深さが約50センチと約1メートルの2段式。低学年用と高学年用は、高さ70センチのステンレス製のパイプで仕切ってあり、低学年でもまたいで移れる程度の高さ。(略) ○○君はこれまでの健康診断でも、水泳に差し支えがあるという判断は一度もされていなかったが、しばしば貧血で気分を悪くすることはあったという。
子供は、原因がよく解らないまま水死してしまう。
監視が必要なのだが、常に監視はできない。
大人の論理では、
大人が近くに居ることが監視だ。
だがそれは確実な方法ではないのである。
確実な方法は無いに近い。
あと健康診断。
もちろん健康診断は必要だが、
この枠組みでプールの重大事故を
カバーできるかというと難しい。
パニックになりやすい等の心理的な領域は
特に測定が難しいだろう。
しかし大人の論理では
健康診断を行った、という事実は
大きい事実なのである。
プールの事故はこうした
「大人の論理」と「実際の現場」との
乖離の中に起きるようだ。
ちなみに子供の年齢が低いほど、
また体が弱いほど、
こうした理由の解らない
突然の水死が起きているようだ。
ただし、体が強く泳ぎが得意でも
突然水死してしまうケースも散見される。
また水深が浅くても溺死してしまうケースは多い。
とにかく子供は突然水死してしまう可能性がある。
そして確実な対策は取りにくい。
このことを前提にプールを楽しむことが必要だろう。