大川小裁判の控訴審原告勝訴について

自治体側は上告の意思を示しているのでまだ終わってはいない。

現段階で思うことをいくつか。

 

「防災計画」の過失、高裁が一転認定 大川小・津波訴訟:朝日新聞デジタル

仙台高裁の判決のポイント
・校長らは、児童生徒の安全確保義務があり、専門家が示すデータも独自に検討しなければならない

・大川小の立地を考慮すれば、校長らは津波の危険性を予見できた

・校長らは避難経路などを危機管理マニュアルに記載せず、市教委も不備を指摘しなかった。適切に定めれば被害は避けられた

 

焦点は①予見性、②マニュアル、③校長らの責任。

 

報告書によると、釜谷地域では8割近くの人が命を落としている。

https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/255443.pdf

単純に数字からは、予見性については厳しい印象があった。

 

マニュアルについては、ネットの粗い議論を見ると

感情論や感覚論に走りがちだが、

学術的手法の問題へと論点は一本化していけるだろう。

 

校長の責任部分は私にはよく解らない。

校長経験者と接したり、話したりした経験からは、

校長というのは普通の偉いさんのおやっさんだ。

ぱっとしないオッサンも居た。

あのオッサン達には本当に重責が掛かるのだなと改めて思う。

 

未成熟な社会に於いては、

教育者はとりあえず全般責任者として扱われる。

責任の範囲は曖昧である。

明治以降学制が導入され、

時間と共に判例が積み上げられていく。

それは職責の線引の積み上げでもあるのだろう。

我々は教育者の職責決定の過渡期に生きている。

 

1審で物議を醸した「断罪」幕は今回提示されなかった。

ただ、「先生の言うことを聞いていたのに!!」看板は再利用されていた。

原告の会見での言葉も、行政側との禍根がまだまだ滲み出てるものだった。